teikokukagekidan’s diary

主にハーメルンに投稿してる小説の設定

てゐ国歌劇団 紅衣ノ少女

<まもなく、『てゐ国歌劇団兎組による紅衣ノ少女』開演致します。もうしばらく御待ちください>

 脚本:アデアット
 監修:ベノホーン
 演技指導:このか

 主演 ただいな/ムラサ ユウキ
    ゆきの/ダイダ レイ
    デビローズ/モモイ トウコ
    アベリア/ハイバラ ハル
    ???/紅衣ノ少女
    わかな/ナレーター


これから数分、あなたの眼はあなたの身体を離れ、この不気味な館の中へと吸い込まれて行くのです...これはあなたの世界とは別次元のお話...そう...別次元の...
「ねぇ、やっぱり止めようよ...」
「何言ってるの?ここまで来たんだよ?」
「ここが...呪いの館...」
「...いくよ」
ギィィィィイイイ...

レイ(ゆきの)「御邪魔しまーす...」
トウコ(デビローズ)「きゃあ!?何か落ちた!」
ユウキ(ただいな)「ちょっとハル?後ろに隠れないでよ」
ハル(アベリア)「言い出しっぺはユウキでしょ!?ユウキが肝試ししようとか言うからー!」
レイ「じゃあビビリのトウコとハルはそのときなんて言ってたっけ?たしか『危ないから私たちも行く〜』とか言ってなかったっけ?」
トウコ「そっ...そうだけど...怪我したらどうするのよ!」
四人は昔からの付き合い。彼女達は今回、最近話題の都市伝説『呪いの館』にやって来た。ここでは怪奇現象が起きる事で有名だった。四人はその謎を解明するために勇気を振り絞ってやって来たのだ
ハル「うぅ...やっぱり帰る〜!!」
ユウキ「あっ!ハル!!」
ところが入ってしばらく、彼女達の中で一番臆病な少女、ハルが怖じけ付いてしまい、入って来た方の闇の中へ走り去ってしまった



ユウキ「ハル!」
ハル「ねぇ...ユウキ...どうしよ...」
ユウキ「どうしたの...?」
ハル「鍵...かかっちゃってるんだけど...」
涙目でハルは振り返る、ドアノブを掴みながら今にも気絶しそうな顔をしながら...
ユウキ「えぇっ!?そんなこと...ふにゅううう...!!」
試しにユウキが力一杯引いたり押したりしてもドアはびくともしなかった
ハル「!、ユウキ!触っちゃダメ!」
バチィ!と音を鳴らしドアノブがユウキの手を弾いた
ユウキ「!!、今...」
ハル「...ユウキ、やっぱりここ...居るよ...」
ハルには昔から『霊的なものを感じる』俗に言う『霊感』があった。彼女が直ぐさま逃げようとしたのはおそらく霊的なものを感じたからだろう
ユウキ「...」
ユウキは冷や汗をかいていた、昔からそうだ、『ハルが霊感を感じた時はヤバい』
ユウキ「と...とにかく!別の出口を探そう!レイ!トウ...コ...?」
後ろに二人の姿は無かった



トウコ「皆ぁー!!どこぉー!!まいったなぁ...はぐれちゃった...確かにユウキを追いかけたのに...」
確かに彼女はユウキを追いかけた、レイと一緒に。
トウコ「すごく違和感を感じる...なんだろう...この気持ち悪さ...」
脅える彼女の眼の前に突如紅い階段が現れた
???「3人か...久シイ食事だネ...」
その階段からべちゃり、べちゃりと『水のようなものを踏みながら』赤...いや、紅色とも言えるほど美しくも恐ろしい色をしたパーカーを着た『何者か』があらわれた
トウコ「ひっ...、こ...この館の方ですか...?」
???「死ンじゃエ...」
その瞬間、舞台は闇に包まれた


レイ「っかしいなぁ...携帯も使えないし...何か変な感じ」
???「次は...」
レイ「ほぁ?」
???「オ前だ!!」
バキィ!!
大きな紅色の鎌による一撃は
レイ「...!」
直撃した、...木製のドアに
レイ「っ...!いきなり何ぃ...!?」
???「...チッ」
レイ「やばっ!」
レイは機転を利かして直ぐさま走り出した、紅衣ノ少女もレイを追いかける
レイ「どっか逃げれる場所...!」
???「あはははははは!!!」


レイ「はぁ...はぁ...、撒いた...、あんなのが居るなんて...なんとか他の二人に教えないと...あれ...?」


トウコ「...ここは、たしか私は...」
トウコは暗い個室に居た、彼女もまた紅衣ノ少女から命からがら逃げ出し、気絶してしまっていたのだ
トウコ「とっさに飛び込んだのはいいけど...この部屋...」
トウコが見たものは二つ、この個室、『窓が無い』そして...『絵の具』だ
トウコ「どうして...、...?」
不意に真っ暗なこの部屋に机がある事がわかった、そこにはなぜか緑色の絵の具がまき散らされていた
トウコ「...!まさか...あの紅色のパーカー...」

ユウキ「どうなってるの...まるで異次元空間みたいじゃない...」
ハル「怖い...この場所の至る場所で何かが動いてる...」
ユウキは畏怖した、ハルがここまで怖がっている事に。正直今では入った事を後悔している
???「見イツケた...」
角に差し掛かった時、暗闇から深紅の眼をした少女が鎌を振り下ろして来た
ユウキ「!ハルっ!!」
ハル「きゃあ!!」
鎌をとっさに避けた事でハルとユウキの二人は離れた、その瞬間を少女は見逃さなかった。ハルの腕を掴み、闇に引きずり込み、投げ捨てると直ぐさまユウキに襲いかかって来た
ユウキ「ハル!!」
???「次はオ前だ!!」
ユウキ「っ!!、でぇい!!」
ユウキは少女に体当たりし、少女がよろけた隙に走った

ユウキ「ぜぇ...ぜぇ...、飛び込んだのはいいけど...ここは...」
そこには...とある形でメッセージが書いてあった、そう、『普通ではない方法で』
ユウキ「...!」
そうだ、違和感を感じていたはずなのに、どうして思わなかったのだろう...
ユウキ「一人...多い...」


レイ「ハル!」
ハル「レイ!無事だったのね...」
レイ「うん、なんとか...それより大変なんだ、紅色のパーカーを着た奴が殺そうと襲いかかって来たんだ!!」
ハル「それなら私もさっき襲われた...私の腕を掴んで投げた後...ユウキを追いかけて行った...だから逃げれて...」
トウコ「見つけた!二人とも無事だったのね...」
ハル「トウコぉ〜!怖かったよぉ...」
ユウキ「動かないで!!」
そこに...ユウキが現れた、険しい顔をして、手には何処から見つけたのかバールを持って
トウコ「ユウキ!?よかった...全員無事だったのね...」
三人が集まってる中央にユウキは何かを投げつけた、三人は驚いて『互いに一歩踏み出さないと触れない位置』に移動させられた
ユウキ「随分怖かったわ、けど...私たちはここからでるわ。紅衣ノ少女!!」
その言葉に三人は驚いた、だが動こうにも動けなかった。ユウキが恐ろしい形相で睨んでいるからである
ハル「どうしちゃったの!?ユウキ!!」
レイ「そうよ!私たちの中にあの紅色のパーカーがいるの!?」
ユウキ「えぇ、今からそれを...証明してあげる!!」またしてもユウキは『何か』を投げた、『先程と同じ所に』それは...
トウコ「...よかった、見てくれたんだね、ユウキ」
絵の具だった、それもそれぞれ
紫、橙、ピンク、灰色という謎のチョイスだった
レイ「これがどうしたの?」
ユウキ「説明するわ。私はさっき、紅パーカーの少女に追いかけ回された時にとある部屋にたどり着いたの、そこには緑の絵の具の上に赤色で『私たちは三人』というメッセージが書いてあったわ、トウコのね」
ハル「それがどうしたの...?」
ユウキ「偶然か運命か...私たちの名前の中に赤と緑を混ぜた色が名前に入ってる奴が居るのよ、そう...あなたが紅衣ノ少女よ!!ハル!!」
ハル「!?」
レイ「マジ!?」
トウコ「えぇ、レイも薄々気付いていたんじゃない?この館に入ったのは...『三人だった事に』...」

トウコ「ねぇ、やっぱり止めようよ...」
ユウキ「何言ってるの?ここまで来たんだよ?」
レイ「ここが...呪いの館...」
ユウキ「...いくよ」

レイ「...思い出した」
ユウキ「赤色に『青』を足せば『紫』」
トウコ「赤色に『白』なら『ピンク』」
レイ「赤に『黄色』で...『オレンジ』...」
ユウキ「緑色にこだわったのはこの場所が過去に緑豊かな森にあった事、加えて赤色と接点の無さそうな色の緑を選んだ事が災いしたわね、もう...ゲームは終わりよ!!」
ハル「...フフフ...あッははははは!!!」
真実を告げられた彼女は狂ったかのように笑い出した
ユウキ「...行くわよ、レイ、トウコ、もうここには何も無い...」
その後...彼女達はドアを壊し、無事に家に帰る事が出来た。だが...翌日...

トウコ「もうあんな所行かないからね!」
ユウキ「わかったって!もう都市伝説に興味なんか無いよ...」
レイ「せっかくの休日に凄い体験できたしいいんじゃない?」
トウコ「もう!レイまでぇ!!」
ユウキ「あはは!」
その時...不意と彼女達の横を...『色のパーカーが過った』...
それに気付いたユウキは振り返った...が...そこには誰もいなかった
トウコ「あぶない!!」
キィィィィイイイ!!!!
ユウキが気付いた時には...彼女はトラックにはねられ
レイ「ユウキ!ユウキ!!救急車!!早く!!」
トウコ「しっかりして!!ユウキ!!」
虚ろに見える景色には...

あの紅衣ノ少女が物陰からこちらを笑いながら見ていた




紅衣ノ少女 完