teikokukagekidan’s diary

主にハーメルンに投稿してる小説の設定

†MULTIPLE AIGIS† ラグナの旅日記 最終回 終末の日

この物語は
ポケモン
小匙一杯のグロ要素
申し訳程度のサクラ大戦要素
を含みます。これがダメという闇の力の僕たちはとっととおうちに帰りなさい



一ヵ月後...

〔ルネシティ:めざめのほこら〕


ラグナ「手向けの花束って訳じゃねぇがよ、俺にはこれぐらいしか出来ねぇ」
めざめのほこらの最深部。そこでは水組隊長であるシャンガとその姉妹であったヴォルヴァの葬儀が行われた。もっとも既に葬儀は終了し、ラグナは一人残っていただけだが
ラグナ「せめてと思って織らせてもらった、こんなもん他の備えモンに比べりゃ貧相だがよ…」
その手にあったのは二着の着物、深紅の激しい柄と紺碧の落ち着いた柄の二着だ
ラグナ「ど真ん中ですまねぇな…」
それをそっと墓標に備えるとラグナは無言でその場を立ち去った…




ラグナ「…」
ベノ「…いい加減そのクソみたいな顔止めろ、仮にも世界を救った奴がしていい顔じゃねえ」
ヘリコプター内でラグナは無意識に悲しい顔をしていた。吹っ切れたはずなのに、あまりにも悲しすぎる顔をしていた
ラグナ「そうか…?なんだかな…」
徐々に離れるルネシティ、窓から見える町と自分の姿は重なっていた
ラグナ「やっぱり”命”ってやつは…儚く脆い…」
ベノ「ちげぇな。”儚すぎて脆すぎる”んだ、”何時の時代も”」
ラグナ「…一つしかないのにな」


ベノ「さて、俺達てゐ国歌劇団ホウエンに迫った危機を救った。だがそれは一人の犠牲を踏み台にした結果だ。手段は選ばないのが俺達だが…自らを犠牲にしてまで被害を最小限に抑えた英雄に敬意を払わないほど俺達は愚かではない。その空いた空席を埋めるものは誰も居ない。だが、俺は…」
ラグナ「…」

犠牲か…確かにそうだろうが…あまり宜しくない言葉…失言だな…だが…俺にはベノに反論する権利は無い。背負いきれない:殺し殺された命がある、後どれだけ命のやり取りをすれば良いんだ…?この先に見える未来は…何だ…?

ラグナ「…」
ベノ「おう、まおに続いててめぇも月一の隊長会議に狼藉働くたぁいい度胸じゃねぇか」
ラグナ「ぬぇっ!」
ぬぅっとベノが顔を近づけていた、ラグナはそれに気付いておらず。驚いて席からこけてしまった
まお「滑稽だな、どうした?会議は終わったぞ、隊長殿?」
ラグナ「はぁ…?」
エクレール「おめでとさん、良かったよ、心ここにあらずって感じの虚ろ目で決まってよかったね」
ラグナ「何が…?」
周りの隊長もニヤニヤしながらこちらを見ている。ラグナには何のことか理解できていなかった
アデア「ラグナさん、聞いてなかったんですか?今日からラグナさんは二代目水組隊長に就任ですよ」


ラグナ「はああああああ!!!??」


〔毒屋敷:総司令室〕

ベノ「役職は面倒だが、”毒組副隊長”、”てゐ国歌劇団副総司令”、そして”水組隊長”。三足の草鞋がんばれよ」
書類にポンっと押された判子を見たラグナは『嘘だろ』と信じがたい目をしていた。当然だろう、いきなり仕事が増え、さらにその仕事先は自分が弔った親友の部下達を纏めると言うのだから頭がオーバーヒートである
ベノ「”出来ねぇ奴”に回しゃしねぇよ、てめぇは今日からシャンガの意を継いでやってくんだからよ」
ラグナ「ちょっと待てよ、そんな突然…」
ベノ「おら、入ってきていいぞ」
ラグナの意見をガン無視したベノの声と共に続々と入ってきたのは…水組のメンバーだった

クロル(オーダイルファルケンの弟、水組副隊長
ファルケン(オーダイル♂クロルの兄★)
リリマル(マリルリ♀)
レビーシャ(シードラ♀★)
コースト(サメハダーメサイア(戦組)、しゃるの弟)
しゃる(サメハダーメサイアの妹、コーストの姉)
シャオラン(シャワーズ♂)

クロル「水組、只今参上しました」
ベノ「話してたのはクロルとファルケンだけだったな、他のメンバーにゃ初めて明かすが…そこにいるラグナが新しい水組の隊長だ、だが業務は今までどおり副隊長もするし副総司令もするしで大変だろうからしばらくはお前等のお荷物になると思う。だがな、亡きシャンガの平和への思いを受け継げるのはコイツだけだ、御誂え向きにこんな物まであったぜ」
動揺するメンバーにベノは直接あるものを託した。それは…シャンガがメンバーと自分の身に”もしも”のことがあったときの為に残していた手紙だった

ベノ「突然だが…お互いにサポートしてシャンガの思いを継いでくれ、俺からも頼む」


〔水組本部〕

ラグナ「えっと…とりあえず水組は水難救助が主としたレンジャー部隊だったな。詳しく何をするかまでは知らなくてな…すまん」
クロル「しっかりサポートさせていただきます」
ラグナ「とりあえず軽く自己紹介を頼む、クロルとファルケンも改めて。どうやら混乱してるみたいで…今だとどっちがどっちかわからねぇくらい混乱してる」
クロル「わかりました。自分がクロル、私の家系は代々シャンガ様に忠誠を誓い、お守りする事が使命でした…ですが…これからは亡きシャンガ様の代わりにラグナさん、いや…ラグナ様をお守りいたします」
ラグナ「ラグナでかまわねぇ。じゃあファルケンから続きを頼む」
ファルケン「自分がファルケン、クロルの双子の兄です。弟共にラグナをお守りさせていただきます」
リリマル「ウチがリリマルっス。ウチは呼び捨てが出来ない性質ですので隊長と呼ばせてもらいまっス」
レビーシャ「此方(こなた)はレビーシャ、前隊長のことも呼び捨てだったからよろこんでラグナと呼ばせてもらう。」
コースト「俺はコーストって名前です、こっちは姉貴のしゃる。他にも戦組にメサイアってのが…いでで…!」
しゃる「口数少ないお喋りが。少しは自重しろ、軽く済まさないと混乱を広げるだけだろ」
シャオラン「シャオランいいます、今は水組のお世話になってますが昔は隊長職でした」
ラグナ「お前…あっ!オーレ出身の滅組(めつぐみ)隊長だったシャオランか!」
コースト「なに?シャオランそんなすごいの?」
しゃる「お前が聞きもしないでズボラかましてたから知らんだけ。シャオランは今は解散したダークポケモン撲滅部隊、滅組の隊長だった。この説明をお前にするのは何回目だ?」
レビーシャ「それで46回目だ、しゃる。」
ラグナ「シャーヴァルがぜひお前と会いたいって言ってたな、解散したが元メンバーとは今も強い絆で結ばれているんだってな」


二時間後

シャオラン「それでそのトレーナーと協力してやっとの思いで最後のダークポケモンであるダークカイリュースナッチに成功しまして…」
ラグナ「ほぅ…俺達にも勝るチームワークだな。レベルが差が激しいのによく耐え抜いたもんだ」
クロル「ラグナ、四隊長からHL(ホログラムテル)が来ています」
ラグナ「なんだ…?つなげてくれ」
ヴヴン!
ベノ「よぉ、なんだ結構馴染んでんじゃねぇか」
まお「先ほどまで虚ろ目で隊長会議をしていたとは思えぬ爛々とした瞳ではないか。いっそ一足草鞋を捨ててみるか?」
アデア「よかった、仲良くできていて…」
シャーヴァル「ふむ、そこにいるのはシャオランか。顔を見るのは初めてだが雰囲気が違うな」
ラグナ「お前等一方的にボロカス言いたい放題だな」
ベノ「へっ、今から俺達より先にアローラ地方に行く御一行に言いたい事言って何がわりぃ?」
ラグナ「はぁ?」
その瞬間、ゴゴゴゴゴと部屋が揺れた。ラグナは嫌な予感を感じながらも黙ってソファに座った
クロル「これは…?」
ラグナ「お前等、これなあんだ?」
そこにあったのはソファ、よく見るとガッチリ固定されており、シートベルトまで付いていた
まお「快適な空の旅を楽しんでくるがいい。貴様等はこれよりアローラ地方の水と言う水を調べつくし、今冬からアローラに向かう全トレーナーのために身を水にして働くがいい」
アデア「ぼ…僕は反対しました…ましてやこんな方法…」
ラグナ「アデア、お前の顔を見ればどれだけ必死にその三人(主にベノ=バカとまお=アホ)を説得したかが分かった。」
落胆する二人。意気揚々とラグナ含む8人を打ち上げ花火にしようとしてる二人。そして…
シャーヴァル「ラグナ」
ラグナ「シャーヴァル…」
シャーヴァル「”あえて”この場を借りて謝罪しなければいけないことがある。水組のメンバーもだ、よく聞いてくれ」
ラグナ「…」
シャーヴァル「シャンガという御仁がダークネスポケモンだったそうだな、俺がそれを知ったのは先ほど、つまり隊長会議だ。事前に判明していたなら俺は迷わずシャンガを殺していた。この事に関して判明したのはラグナが最深部に行ったときが最初だということも聞いた。そこでラグナは判明してなかったとはいえ”説得”したそうだな、その後判明したダークネスポケモンである事実。恐らく裏に何かが居る。例えば…”あの悪魔を解き放った奴等”。俺は奴等がこれからも俺達の前に現れ、何かしら裏から糸を引いてくると予想している。何が起きるか分からん。用心した方がいい」
ラグナ「わかった、ありがとな」
シャーヴァル「話はまだだ、もしかしたら奴等は”シャンガをマインドコントロール”し、”殺されそうになったからダークネスポケモンにした”可能性も極めて高い。もしくはシャンガの決死の”抵抗”とラグナの”説得”でありえないはずの”リライブ”に似た状態になりかかっていたのではないか。俺はそう推測した。シャオランならわかると思うがリライブ不能と言われたXD-001も滅組決死の行動でリライブに成功した。いままで”殺すこと”でしか救えないと思っていた、その概念が皮肉にも”今回の件=シャンガの死”で明らかになった。もっと早く明らかにしていればシャンガは死なずにすんだかもしれない。結果論だがそのことでラグナや水組、てゐ国歌劇団のシャンガを知る者の心に傷が出来たとするなら…それはダークネスポケモンである俺の責任だ。その事を謝りたかった」
ラグナ「だったら…その思いを心に刻み付けろよ。そして…その命続く限りそれを背負って二度と同じ事が起きないように鍼組のメンバーと支えあって生きろよ」
シャーヴァル「その言葉…」
ラグナ「なんだ、やけに心に焼きついた”誰かの言葉”でな。それに気にすんな、シャンガはあそこで自分を殺すつもりだった、だから誰も出入りできないようにした。トドメは俺じゃねぇ、アイツが自分でケリを付けたんだ、同じ生きとし生けるものの為にな」
シャーヴァル「…そうか。フフっ」
ベノ「さあて、ロケットマンズ、準備はいいか?」
ラグナ「あぁ、出来てるだろ?お前等!!」
クロル「とっくに」
ファルケン「出来ています」
リリマル「ウッス」
レビーシャ「愚問」
コースト「おう」
しゃる「いつでも」
シャオラン「覚悟ならどんなときも」
ラグナ「いくぜ!!」


FIN.




後書き


皆さん、こんにちは、てゐとです。私は今、泣いています。いつしか「やっと終わった」から「終わってしまった」と思うと自然と涙が出てきてしまいました。それだけ私も彼等も成長できた一年ちょっと。長い間で途中くじけそうになったり色んな苦悩、挫折、思いがありましたが最終的に完結できて本当によかったです。ラグナはもちろんだしアンペルトやぼたん、あるまにらんまる、このかと旅が出来てよかったと思ってます。数話カットしましたがそれでも楽しかった物語だったって思い出になりました。


当面の目標はサン・ムーンまでにはⅡを完結させたいです。すでに台本や設定は完成しているのですが時間などがたりなくて…。寝る間も惜しんで編集してます

短いながらもこれで後書き、およびラグナの旅日記、完結とさせて頂きます。応援の声、励まし、支えてくださった皆さんには今一度感謝を述べたいと思います。ありがとうございました。