teikokukagekidan’s diary

主にハーメルンに投稿してる小説の設定

†MULTIPLE AIGIS†SPECIALⅡ THE REQUIEM CALL 第二話 声無き思い

この物語は
ポケモン
ポケモン擬人化
小匙二杯のグロ要素
申し訳程度のサクラ大戦要素
を含みます。これがダメという闇の力の僕たちはとっととおうちに帰りなさい





地組パート:初対面の再会

ドラゴ「いつのまに…」
まお「先ほどからだ、まさかいっこんぞめに貸したゲームを返してもらおうと赴けばこれはどういうことだ?」
地組の誰もが知っている。まおは『人間絡み』のことになると極端に機嫌が悪くなる事を。
いっこんぞめ(表)「あちゃあ…アタイ戦犯かぁ…」
ニーナ「まおっ!話を…!」
まお「必要ない。どけ」
ぼたん「…」
ドラゴ「ぼたん!てめぇ裏切る気か!!?」
なんとぼたんが自らまおに道を空けたのだ。そのまままおはベッドに隣接し、少女に手を伸ばした
ぼたん「…まお、どうだ…?」
まお「ふん、貴様等はこれがただの風邪や立眩み、ましてや貧血などだとでも思ったか?これは人のみが発症する病気、『内灰人炎侵症(ないはいじんえんしんしょう)』ある周期の人間が突然発症する内臓が焼けるように熱くなり、それが体内を侵食し最後には内臓器官が灰のように崩れ去ることから付けられた病気だ、皮肉交じりに『ヒューマンバーナー病』などとも呼ばれている」
ぽかーんとぼたん以外の四人が口を空ける。状況が読み込めないという感じだろうか、てゐ劇屈指の人嫌いであるまおが自ら手を触れ、病気だと見透かしたからだ
ジーナ「え…?まおは何をイテルデス…?」
まお「貴様等は我をなんだと思っているのだ?法律に医療、生物学などあらゆる文化に我が精通して無いと思っていたのか?これは極めて深刻な病気だ。急いで病院に運ぶぞ。手配しろ。今すぐ」
ドラゴ「だっ、だが確証はあるのかよ?第一デコに手を当てただけで…」
まお「ヒューマンバーナー病は発熱時と酷似していることで所謂『発見が遅れやすいタイプ』の病気だ、違いは一つ、伝導熱だ」
いっこんぞめ(表)「あっ」
まお「やはり介抱したのはいっこんぞめとレジーナか、比較的体温が高い貴様等には見抜けにくいだろう。これは手を額に当てたときの熱の伝わり方が微妙に異なる。そもそもホウエンはその気象故に風邪への体性はきわめて高い。夏風邪でさえ水分補給をしていればそうそうかからん。さらにホウエンで使われている水はほとんどが豊かな自然から取れる天然水を使用している。ホウエンに滞在しているということはその健康的な水を主とし、飲食していることになる。その証拠に見ろ、唇は健康的な色をし、肌も荒れてすらいない。こうなっているのに風邪と同じ症状が出るという事は熱中症かヒューマンバーナーに限る。本日は曇り空、ここまで親切に説明したのだ。わかるだろう」
またしても四人はぽかーんと口を空ける。まさかアホのイメージが定着しているまおがここまで博識だとは思わなかったからだ。
まお「手配するぞ、迅速に動け、人命に関わる」
???「リ…こ…」
まお「…、人探しはベノに任せるとしよう。MEXさん!RTYUA!」
その収集に二人は1分もせず駆けつけた
まお「今すぐ病院に連絡しろ、ヒューマンバーナー病だ」
MEXさん「分かりました、すぐに」
まお「RTYUA、貴様の糸で腕の血管を止めろ、採血の準備だ。加えて心電を頼む」
RTYUA「……」
まお「RTYUA、どうした」
RTYUA「あ…は…?」
まお「RTYUA」
RTYUA「や…る…」
MEXさん「RTYUA!」
なんとRTYUAは目を開けたままバッタリと気を失った。倒れる直前にMEXさんが支えなければ確実に床に全身を強打したであろうくらいの勢いであった
まお「病人を増やす予定ではなかったのだが…仕方ない。シュトラを呼べ、RTYUAはそこのソファにでも寝かして置け」
頭を悩まし、ため息混じりにまおは部屋を去った。恐らく色々な連絡の為だろう
MEXさん「私は病院への手配とシュトラを呼んできます。RTYUAをお願いします」
ドラゴ「あ、あぁ」
ニーナ「行っちゃった…」
ぼたん「とりあえず寝かせるぞ…」
???「んっ…」
その時、少女がゆっくりと目を覚ました
いっこんぞめ(表)「おっ、気がついたかい?あんたアタイらの家の前でぶっ倒れたんだよ。でも大丈夫だよ、もうすぐ病院から…」
???「メ…」
ニーナ「へ?」
???「メア…リー…」
その少女の瞳に映っていたのは…RTYUAだった…



兎組パート:誰が敵になったとしても





アデア「待って!ゆきの!話しを聞いて!」
ゆきの「冗談言わないで!!こんな時に!皆がライフのことで辛い思いをしてるのにそんな夢物語聞いてられないわ!!」
バタンっ!!と大きな音をたて、勢い良くゆきのの部屋のドアは閉められた、アデアは訳があってみんなの部屋を回っていた、「ライフを救う方法がある」と言って。だが…帰って来た答えは同じだった

このか「昼間の事は感謝しとるよ...そやけど...そないなこと言うても...死んだ人は蘇らへん...」
アンペルト「見損なうたぞアデア...そんなことをやってまでライフが喜ぶ思っとんのか!!」
ライラ「すまねぇが親父と同意見だ、受け入れた方がマシな現実しか無いのは知ってるだろうが」
あるま「アデア、悪いが出て行ってくれ、時は過ぎ去ってしまったんだ、分からないわけじゃないだろ」
アベリア「ごめんなさい...協力してあげたいけど...本当にライフはそれで幸せなのかしら?」
わかな「ライフさんは未練が無いように私たちと過ごしてきました、私にライフさんを愚弄するような真似はできません。お引取りを」
ラピス「少し考えさせて…」
デビローズ「受け入れてください、これは現実だと」

全員から反感を買ってしまった、さらにただいなは用事で居ない
アデア「…やっぱりダメなのかな…?確かに間違ってる。だけど…もう…僕にはこの方法でしか…ライフを救えない…」
ガックリとアデアは壁に背を着けうなだれてしまった、今…自分がこんなにも非力であると痛感し、
アデア「ごめんなさい…ベノさん…それでも僕は…!」
自分の頭を掴んで涙を拭い、アデアが立ち上がろうと顔を上げた瞬間、ガチャリと目の前のドアが開いた
アデア「ゆきの...」
ゆきの「入って...」



キンセツ支部:ゆきのの部屋

ゆきの「…詳しく聞かせて、アデアの考えを…」
哀れに思ったのか放っておけなかったのか…ゆきのはアデアを部屋に招き、考えを聞くことにした
アデア「…責任は全部僕が取る。ライフを救う方法は一つしかない…!」
ゆきの「どうするの…?ライフは…その…死んでしまったのよ…?」
アデア「僕は先日、ベノさんからとある極秘任務を受けた。それはとあるポケモンの保護…そのポケモンは本来どこにいるかも不明で永い眠りについている…だけれどそのポケモンの反応が微量ながらホウエンに確認された」
ゆきの「それがどう関係するの…?」
アデア「単刀直入に言えばそのポケモンの力を使う。そう…、ジラーチの…!」
ゆきの「えっ…!?ジラーチって…願い事を叶えるって言う…?」
アデア「うん。もちろんだけど勝手にジラーチの力を使ったらただじゃすまない。悪人の手に渡ればどんな恐ろしい事になるかも承知だ、だけど…この方法しか…ライフを救えない…」
ゆきの「でもジラーチは千年に一度、それも7月7日が主とされる千年彗星が出ている時じゃないと目覚めないんじゃ…。今はもう八月終わりよ?」
アデア「…今日の深夜。千年彗星が確認されたんだ」
ゆきの「えっ…」
アデア「その直後曇り空になったから公にはなってない。けれど…ジラーチはこのホウエンのどこかに居る。僕はその調査をしてその場所と思われる場所を突き止めたんだ」
ゆきの「それで総司令や他の隊長に気付かれる事なくジラーチの力を使って保護…、ね?」
アデア「うん。だからライフが亡くなった事やジラーチの場所のことはベノさんにもまおさんにもシャーヴァルさんにも連絡していない」
ゆきの「…一歩間違えたらてゐ劇を敵に回すことになるのよ?それでもアデアはいいの…?」
アデア「…正直怖い、だけど…僕はライフを救いたい。例えてゐ劇を敵に回しても。だってライフは…『今の兎組』を作ってくれたから…」
ゆきの「…」
数年前、兎組にアデアが居なかったときのことだ。その時のメンバーはゆきの、このか、アンペルト、ライラの四人であった。厳密にはアデアも居たのだが着任に時間がかかり。数ヶ月この四人だけで生活をしていたのだが…ゆきのとアンペルトが何度も衝突し、ゆきのとこのか、アンペルトとライラに別れ。兎組が解散の危機に瀕した事があった。さらにゆきのは一人で当時の毒組メンバー(ベノ~しゅヴぁる)全員を一人で完封勝利したこともあり、もはや彼等を止めるものすら居なかった。その時…アデアが着任する一ヶ月前に着任したのがライフだった。



〔兎組の過去〕


ゆきの「…!」
コンコンと音を立て突然ドアがノックされた。このかじゃない。そう感じたゆきのはそっとドアに近づいた…
ゆきの「っう!!誰!?消えてちょうだい!!アンペルトの手先なら消し飛ばすわよ!!!」
ドアを予告無しに蹴り飛ばし、ハイドロポンプの矛先をそこに向けた。そこにいたのは…
ライフ「いたた…頭ぶつけちゃった…」
ゆきの「…誰?」
ライフ「あっ、ごめんなさい。私は今日付けで兎組に配属してきたライフです。よろしく」
ゆきの「えっ、あっ、よろしく…」
顔の半分をフードで隠しているその姿は不気味にも思えたが自然とその瞳に敵意は感じなかった。ゆきのはそう思うと同時にいつの間にか握手を交わしていた
ライフ「今、他の兎組の方にも挨拶に回っているんです。皆さん良い人たちばかりで私安心しました」
ゆきの「えっ…」
バッと握手を振りほどく。いけない事とはわかっててもゆきのは光線の矛先を再びライフに向けた
ゆきの「アンペルトと通じてるのね…?消えてちょうだい!!じゃないと貴方を…」
その時、そっとゆきのの手にライフの手が触れた。その手は暖かくて、柔らかくて、どこか包容感に満ちていた。
ライフ「命って…そんなに簡単に拒絶しちゃダメなの。だから誰かを安易に傷つけちゃダメ。傷つけあうなんて御法度よ」
ゆきの「…」
光線の光が徐々に消えていく。それはゆきのから敵意が消えていることを表していた
ライフ「アンペルトさんと何があったか私は知らない。でもアンペルトさんも今の貴方と同じ反応をしていたわ」
ゆきの「アンペルトと…同じ…?」
ライフ「新米風情が勝手な事を言うと思うかもしれない。けれどこれはアンペルトさんにも言った事。本当は貴方達四人。心根は同じじゃないかしら?でも個人の意見やロジックが表面上は違うから貴方達はぶつかり合っているんじゃない?少なくとも…私はそう感じたわ…」
ゆきの「…」

それからゆきのとアンペルトがぶつかり合う事は少なくなっていった。もちろんケンカをするときはする。だが…そんな時に二人の間に割って入ったのはライフだった。

ライフはゆきのとアンペルトのケンカを目撃すると臆する事無くそっと止めに入った。もちろん二人は邪魔だと言ったりしたがライフは何度も衝突を止め、二人はいつしか完全にケンカしなくなり、ライフの手ほどきによって仲直り。アデアが着任したころには意見こそぶつかり合う物のケンカにまでは発展しない所謂『仲間』になっていた…



アデア「僕は…ライフに恩返しがしたい。どんな形でもいい。全てを敵に回してでも彼女を救いたいんだ…!!」
その時のアデアの顔は…強い意志と悲しさ、二つの相対する感情と共にライフと誰かを重ねているようだった…
ゆきの「…わかったわ。アデアの覚悟」
アデア「えっ…」
ゆきの「えっっじゃないわよ。例え全てを敵にしてもライフを救いたいんでしょ?だから…私はアデアに協力するわ、私も全てを敵に回す。その覚悟でライフを救う。」
アデア「ゆきの…」
ゆきの「行きましょ。かけがえない仲間の為に」
アデア「うん!」



毒組パート:疾走する決意

毒屋敷:隊長室

今、ベノはあっけらかんとし、手元の資料をドサドサと落とし尚、信じられないような目をしていた。二日間顔を見せなかったルークスが突然来訪し、自ら実家に帰郷すると告げに来たのだ
ルークス「いままでお世話になりました」
大きくお辞儀をし、そのまま隊長室を出たルークスをベノは力無く見送る事しかできなかった。今、丁度、ルークス帰国延期の印を押せようとしたところだったからだ


しゅヴぁる「そうか…そんなことがあったか…」
ベノ「…すまねぇ…ショックがでかすぎる…寝かせてくれ…」
その場に居るしゅヴぁるとカオティクスは黙って振り向き、ベノは隊長室と繋がっている自分の寝室に入って行き、二人はルークスを送る為に彼女の自室に向かった

しゅヴぁる「…」
カオティクス「…永遠にこのままとは思ってはいませんでしたが…やはり辛いですね…」
しゅヴぁる「やめろ、ルークスだって本当はここを離れたくないはずだ。俺達の涙はルークスの決意を鈍らせてしまう。今は耐えろ、せめてルークスを笑顔で送り返した後に涙を流しても遅くは無いはずだ」
カオティクス「…ですね。わかりました」
二人は涙を堪え、ルークスの部屋のドアをノックする。だが…返答は無かった
しゅヴぁる「シャワーを浴びているのかもしれない。少し時間を潰そう」
カオティクス「そうですね。そういえば新しい劇の台本が…」


ルークス「…行ったわね」



次回予告
たとえ世界の全てを敵に回しても。その言葉を胸にアデアとゆきのは動き出した、今の自分達を作ってくれた掛替えの無い存在を救うために、一縷の望みに全てをゆだねようとしていた。
そしてルークスは決意する。大切な仲間との別れを、そのために自分から道を歩みだす。だが…それはあまりにも突然すぎる別れ。仲間達は彼女を思う。どうして去っていったのか
少女は目覚めた。目の前にはRTYUA、差し伸べられたその手は…。人嫌いの集う地組の
渦中。彼女は一体どうなるのか。まおが今判決を言い渡す。

次回 †MULTIPLE AIGIS†SPECIALⅡ THE REQUIEM CALL 第三話 MAGNET

離れるように近づき、寄せ合うように別れていく