teikokukagekidan’s diary

主にハーメルンに投稿してる小説の設定

てゐ国歌劇団スペシャル† wound that I will never forget 第三話 割れたガラスの破片

この物語は
てゐ国歌劇団の番外編
ポケモン
少しのグロ要素
申し訳程度のサクラ大戦要素
を含みます。これがダメという闇の力の僕たちはとっととおうちに帰りなさい

※注意※この物語はまだ「シャーヴァルが敵」で「新メンバーが居ない」時ですので30人で正しいです。また今話から〔〕と現在地を追加します、〔〕はそのお話のチャプター、現在地は何処に居るかを現しています。

前回までのあらすじ、世界の平和を護る秘密組織、てゐ国歌劇団がカロスに来て数ヵ月後のお話。度重なるトラブルや別のグループとの接触が原因で牢獄が脆くなり、シャーヴァルというニドキングが脱獄し、突然のことだったため逃走せざるおえなくなり、バラバラになってしまった毒組、地組、兎組のメンバー30人は、三つに分かれ、シャーヴァルの放った追っ手から逃げつつ、反撃のチャンスをうかがっていた。現在シャーヴァルの追っ手、たらこを倒し、ベノホーンたちのチームは安息もつかの間、シャーヴァルを倒す為に自分の秘密を暴露する...

現在のチーム編成
ベノ&まおチーム ベノ まお ジーパン ライラ RTYUA くぃーん レジーナ もみじ タマズサ シュトラ わかな 

アデアチーム アデア ゆきの ライフ アベリア あるま ドラゴ しゅヴぁる カオティクス ラピス エクレール

ラグナチーム ラグナ MEXさん このか アンペルト ルークス ぷりん らんまる ぼたん



〔明かされる蛮行〕


地組の隠れ豪邸にて
ベノ(ニドキング:♂)「八年ほど前か、俺が率いた針組の研究グループがとんでもないもんを発掘しやがった。そいつらはオーレ地方にあるものを探していた、それが...悪の組織、シャドーの研究所だ」
ラグナ(ラグラージ:♂)(電話)「シャドーといえば...二回に亘ってオーレ地方を基点に悪事を働いた組織だよな?」
ベノ「そうだ、ロケット団やギンガ団などの悪の組織には無いものを探していた、それがダークポケモンに関する資料だ」
まお(ニドキング:♂☆)「ダークポケモン...愚かなる人間が心を強引に閉ざして作り出した破壊兵器か」
ベノ「やろうとしたことはそれだった、戦力増強としてという名目でな、そしてその結果、思いもよらない副産物が出来上がった、心を閉ざすことなく、ハイパー状態、リバース状態にもならず、理性を保てるままダークポケモンの力を手にすることができる最悪の薬物、DRK-0002EXD、これは体内に混入すると身体の体内構造をダークポケモンと同じに出来る悪魔の産物だ、さらに本来ポケモンが使える技とは別枠扱いとしてダーク技まで使えるってんだ、こんなもんを量産してみろ、悪魔の行進どころの話じゃねぇ、間違いなく世界が変わる、そんな激物だ、幸いにも量産されず、試験用のものが一つ、使用されることになった、もちろんそんな得体の知れねぇもんだ、誰もがビビッて使いたがらなかった。その時だ、迷うことなくシャーヴァルの野郎は答えた、「俺が使おう、俺が使えば安全性が保障されて世界を変えることが出来る」...、!?」
最後のベノの言葉に誰かが言葉を被せてきた、べノはビクッと驚いて後を振り向く、丁度ベノの後は大きなバルコニーとなっており、純白のカーテンが風になびいていた。そしてその奥には...
シャーヴァル(ニドキング:♂D)「甘いな、あの程度の罠を見抜けないほど俺は落ちてはいない」
ドス黒い紫の瞳がこちらをにらみつける、角は無くとも威圧感は凄まじく、この場の全員を一斉に手玉に取れる余裕が見て取れた
ベノ「やっぱり無理があったか...」
シャーヴァル「当たり前だ、貯蔵庫で聞こえたお前とジーパンの声は誰かの声色だろう、それに手際の良さが命取りだ、仲間割れしている奴らが悠長に罠など仕掛けられるか」
そりゃそうだ、だがそうでもしないと全滅もありえた、言うに一長一短で無茶な作戦だったのだから無理もない
シャーヴァル「上手く誤魔化せたと思っていただろうから少し笑ってしまった、礼として続きを教えてやろう」
少し笑いながらカーテンを拭い、何の躊躇いも無く侵入するシャーヴァル、ベノとまおは率先して他のメンバーの前に出ていつでもシャーヴァルに応戦出来る様に威圧感を放つ。
ベノ「あいつが何かやろうとしたらぶっとばして逃げるぞ(小声)」
ベノの小声にまおは相槌打たず、ずっとシャーヴァルをにらみつける。腕を組みながらもいつでも反応できる、まおなりの威嚇行動だ。
シャーヴァル「続きだ、そんな世界を変えるものを服用した俺は試験管の中で絶対的な力を感じた、その違和感は身体に馴染み、俺の血液や細胞が犯されていくのが感じ取れた。そしてその時、俺はダークネスポケモンとして生まれ変わった」
自分の手のひらを無表情で見つめながらシャーヴァルは語る、どこか物悲しい雰囲気を漂わせながら...
シャーヴァル「俺はダークポケモンを超えた、それだけじゃない、更なる力を手に入れた、それが...先導する者(ファースト)、この力は偉大にして絶対、尚且つダークネスポケモンの特権、それが...瀕死とリライブの概念が無く、不死を得る」
その発言に全員が戦慄し、同時にどうしてこんなにも堂々と敵陣の中央に居座れるかが理解できた。
ベノ「んなこたねぇだろ、ランクが同じ、もしくはそれより上には殺されるだろ」
額に汗をかきながらベノは答える、メンバーを安心させるためにも...
シャーヴァル「そうだな、だからお前は俺を殺せず俺はお前を殺せる」
まお「そうか、やはりそういうことだったか...」
ベノ「...、もう察しは付いてると思うが俺とジーパンはダークネスポケモンだ、おそらくこいつのファーストの能力によって...」
シャーヴァル「あぁ、俺がこいつらを変えた」
サラッとシャーヴァルは言い捨てた、まるで当然のように
シャーヴァル「まったく...人の好意を仇で返すとはこの事だな」
ベノ「言ってろ、俺はこんなもん望んでねぇ」
シャーヴァル「まぁいい、今日はもう遅い。故に...」
豪邸が揺れる、まるで地下から何かが飛び出してくるような...
シャーヴァル「今日はこれで仕舞いだ、戦争にもルールはある。今日のところはたらこを返してもらいに来ただけだ、ではな」
ベノ「待ちやがれ!!」
シャーヴァル「それと言い忘れていたが...いい劇だったな、紅魔姫だったか、あれの初日公園だろう?劇場にヒビを入れるほどの大惨事が起こったのは」
ベノ「あの時の騒動で...!」
ニヤリと笑うシャーヴァル、悔しそうに心当たりがあるベノ、ベノは戦意を喪失し、シャーヴァルは堂々と背中を見せながらバルコニーから飛び降り、行方を暗ませた。そして追うなと言うように風でバルコニーの窓が閉じた...
エクレールレントラー:♀)「追いますか」
ベノ「いや...、追いかけるな」
まお「話には聞いている、貴様ら毒組が客と一悶着起こして劇場が潰れそうになった事件だろう」
ラグナ(電話)「その時の騒動がこんな形で響いてくるなんてな...」
アデア(ニドキング:♂)(電話)「それよりも...あのシャーヴァルの言葉が気にかかります、恐らく明日の朝一番にでもラグナさんを奇襲してくると僕は思います」
ベノ「だろうな...」

〔信じれぬ影〕

たらこ(ボーマンダ:♀D)「リーダー!ごめん!」
空中を飛びながらではあるが「たらこ」はシャーヴァルに謝罪する、だがシャーヴァルは馬耳東風と言わんばかりにたらこを無視しながら走り去る
シャーヴァル「...、今のところは俺の思惑通りだ、気にするな」
シャーヴァルはそれだけ言うとミアレ前でピタッと足を止めて上を向く、そこには不気味なくらい丸い月がこちらを見つめるように輝いていた
シャーヴァル「...たらこ、先に戻って休んでいろ。俺はまだやることがある」
たらこ「リーダー...」
たらこはしょぼんとした顔をして何処と無く納得のいかない顔をして飛び去った
シャーヴァル「...、出て来い」
その言葉に感応するように...月が照らせない物影から不定形な禍々しい影としか言い様の無いものが蠢き、シャーヴァルに口を開く
???「順調かい...?」
シャーヴァル「今のところは俺とお前たちの思惑通りだ、作戦は実行できる」
???「そうかい...」
シャーヴァル「あいかわらず食えない上に弁明し難い姿をする。まともな姿と名前くらい教えたらどうだ、じゅおん、じゅじゅ」
じゅおん「悪いね...妹が無口なもんでね...」
シャーヴァル「そんな貴様らにこれをやる」
シャーヴァルは怪訝そうな顔をすると何かを二人に投げつけた
じゅおん「ほう...これはメガストーンというやつか...」
シャーヴァル「それに対応するポケモンにでもなったらどうだ、最終的には戦闘に参加してもらう手はずだろう」
じゅじゅ「それじゃあこれでいい...」
そう言うとじゅおんはゲンガー、じゅじゅはジュペッタへと姿を変えた
じゅおん「ひひ...ひひひ...」
二人はうめき声にも似た声を漏らすと影となって闇の中へ消えていった...
シャーヴァル「...、食えんな、わざわざ尾行(つけて)来るとはな」
草むらを睨むとゴーストタウンとなったミアレシティに入り、意味も無く町を歩く、なぜ自分の足でゴーストタウンを歩いているのか、彼自身にも意味は分からなかった
シャーヴァル「...俺は何をしている。これが果たして本当に正しいのか...それとも...」
彼は昔の自分を重ねていた...

〔疑心暗鬼〕

ベノ「...」
シャーヴァル「もうすぐあのスラムも教会も救済することができる...」
彼は、シャーヴァルは、世界の平和を真剣に考えていた、それこそ平和のために手段は選ばず、自分から進んで「死による救済」を行っていた、だが...いつしか彼の中に違和感が生まれようとしていた...、そして、それは現実の物へと確かな歩みで進んでいた
ベノ「...、払え」
シャーヴァル「?」
ベノ「焼き払え、遅い」
そのベノの言葉は簡単に言えば皆殺しの命令だ、だが...ふもとのスラムは阿鼻叫喚の悲鳴で溢れかえっていた
ベノ「耳障りだ、殺せ」
シャーヴァル「...あぁ...」
シャーヴァルは兵長をしていた、それゆえ針組の長であるベノの命令は絶対なのだ
ベノ「気に入らんか」
シャーヴァル「いや...」
この頃のべノは...一言で言えば残虐非道、今のベノからは想像すらできないほどの極悪人であった。そのため今以上に、人間に対して怒りと憎しみを募らせている
ベノ「...、俺は先に戻っている、お前も行け、全員の首を積み上げて十字架をぶっ刺せ、人間を許すな」
シャーヴァル「...」
その眼光には敵わず、シャーヴァルはふもとへ飛び降りた、ベノがそれだけ恐ろしい存在だったからだ、つい先日も部隊の一人がしくじったという理由でその部隊を丸ごと毒殺したほどだ。敬語は使わない間柄とはいえ逆らえない、機嫌を損ねればすぐさま首が飛ぶ。シャーヴァルは自然と死と言うものを再認識していたと言える



シャーヴァルは少し不服であったが命令である以上は仕方なく、火の放たれたスラムを歩き回る、先ほどまで聞こえていた阿鼻叫喚は全くと言っていいほど聞こえず、そこにあるのは...死体の山だった
シャーヴァル「...」
その時だった、シャーヴァルの中に違和感が生まれ、産声を上げたのは。改めて自分たちが奪った命、粛清の為とはいえ望んだ物とは違う、シャーヴァルは確信した。自分たちのしている事の奇行の加減を...
シャーヴァル「俺は...一途に世界の平和を望んだだけなのに...、アイツ(べノ)にその可能性を見出した、平和の為...、俺はどんな愚行さえ進んで見せると誓った...だが...!」
シャーヴァルは膝を付き、ガクリとうなだれる、自分のしていたことに今頃気付いた、そのおろかさに改めてシャーヴァルは絶望した...
シャーヴァル「これは...正しい道じゃないのか...!?俺は...何を...」

現在地:ミアレシティ

シャーヴァル「っ!?」
ハッとなり、シャーヴァルは頭を横にぶんぶんと振る、思い出したくも無い過去だからだ
シャーヴァル「...あの二の舞は起こさない、今度こそ正しいはずだ、必ず世界を平和にしてみせる...俺の手で...!!」

現在地:地組の隠れ豪邸

ベノ「...さて」
まお「待て、何処へ行く」
ベノ「話し聞いてなかったのか、俺とジーパンはダークネスポケモンだ、今アイツを殺せるのは...」
まお「誰も居ないが貴様のことだ、自分を犠牲にした策でも考え付いたのだろう、つくづくお人よしな奴だ」
ベノは言い返すことなく部屋を出ようとする、だがまおはベノの前に立ち塞がる
ベノ「...どけ」
まお「我にそのような言葉...聞く耳持たんな」
ベノ「俺が原因で生み出した化けモンだ、こっからは俺がやる」
まお「ここまで共に行動したのはそんな下らん私情に我らを巻き込むまいと言う貴様なりの配慮か?我らは...「うるせえ!!」」
まおの声にベノは怒声を被せる
ベノ「てめぇらに何が出来る!!この中の誰か一人でもアイツを...シャーヴァルを殺せるか!?それにこれから先はどんな行動をしようと見透かされる!!だからっ...!」
まお「死なないのだな?」
ベノが涙を見せた瞬間、まおはそれを他のメンバーに見せまいとベノの頭部をつかみ、片手で投げ飛ばした。もちろん入り口の反対にあるのは...
ガッシャアアアアアン!!!!
大きな窓をしたバルコニーだ
。ベノは抵抗できぬまま大きな音を立て、豪快に外の椅子やパラソルテーブルを巻き込んでバルコニーの柵に激突した
まお「...」
普通なら死ぬ、間違いなく死ぬことをまおは平然とやった
MEXさん(電話)「まおっ!なんてことを...」
まお「よく見ろ」
全員がベノに注目する、そこには全身傷だらけのベノが居た
べノ「ってえな...」
衣服はボロボロで...全身には...ほんの数秒前にあった傷が無くなっていた
ベノ「何しやがる、後頭部強打に内臓破裂、関節が外れて肋骨がぶっ刺さったじゃねぇか」
そうは言うものの...ベノの身体には外傷が見られなかった...
まお「...、死なんというのは本当のようだな」
ベノ「ったりめぇだ、ダークネスポケモン舐めんな」
まお「ふん、それなら好きにしろ、その力で世界を救えるのは自分だけのように吼え面掻いてるがいい。所詮はその程度の力だ、我らの知った事ではない、仲間を信じぬ貴様にニーナは救えんよ...」
ベノ「...」
まお「何を勘違いしているかは知らんが...我らは何だ?貴様がダークネスポケモン?我が何か言ってから反応できぬならそのような力は無意味だ、言うなれば面接で意気揚々と自分の主観を面接官に叩きつけているに過ぎん、浅はかなのだよ、その態度が」

パチンとまおが指を鳴らすとベノの目の前にシュトラが現れ、まぶしい光でベノを眩ませた
ベノ「ぐっ...」
まお「人なりに技も効くなら今は眠ってもらうとしよう、くぃーん」
くぃーん「わかった」
そう言うとくぃーんはサイコキネシスで容赦無くベノの首を絞め、意識を失わせた
まお「貴様如き地組のコンビネーションの前には無意味だ、自分独りで思いあがるな、我らは割れたガラスの破片だ、破片一つ一つが違う輝きを見せるからこそ美しいが...ステンドグラスのように一つになればさらに美しく輝きを増す。仲間なのだからな、時には厳しさも必要だ」
くるっと後を向いてまおは自室に戻っていった、その姿はベノのことを蔑んでいるようにも見える辺る
MEXさん(カメックス:♂)(電話)「...、では今日はこの辺りでお開きとしましょう、明日の事もございます故...」
カオティクスウォーグル:♂)(電話)「ですね...ではエクレールさん、ジーパンさんをこちらまでお願いします、ラグナさん、いらっしゃいますか?」
ラグナ(電話)「あぁ、あの件だろう、既に連絡はしてあるからまっすぐ向かって大丈夫だそうだ。べノの気持ちも痛いほど判る、不死身の化け物として見られるのが本当に辛いんだと思う...。だから...」
全員の目線がラグナに集まる。これから言う事を察しているようにも見えたが...、ラグナはそれでも口を開いて前を見て言い放った
ラグナ「いつもと変わらない俺たちで居よう、べノとこれまで通り、普通に仲間として接してやって欲しい。例えどんな残酷な現実であろうと受け止めてやってくれ、それが仲間の俺たちができる最善の好意だと思う」

???


???「...、...」
ジーパン(ズルズキン:♀)「んっ...」
彼女の目の前に誰かが居る、誰かはわからないがこちらに何かを訴えようとしている...
???「...、...!」
ジーパン「お母さん...?」
しかし、彼女にはすぐに母だとわかった、確信は無いが...
???「...!、げ...」
彼女の母は何かを必死に訴えている、まるで...これから起きる何かから遠ざけるように...
ジーパン「お母さん?何を言ってるの...?」
???「逃げなさい!!」
その時、彼女の母の後から爆炎が襲い掛かり、彼女の母を包み込んで消えてしまった...
ジーパン「嫌...お母さん!!」

現在地:ジーパンの自室

ジーパン「お母さん!!!」
彼女が飛び起きたとき、部屋は薄暗く、オレンジの豆電球が眩しく見えるほど暗かった
ジーパン「っはぁ...っはぁ...」
喘息でも起こしたのではないかと言うくらい呼吸は荒く、彼女の全身は汗に濡れていた。
ジーパン「今のは...」
思い出したくも無い、口に出さずともそんな顔をしていた...。
ジーパン「...シャワーでも浴びるか...」
そう思い、彼女がベッドから降りると
ガタッ
ジーパン「ってぇ...」
転げ落ちた、いや、歩けなかった
ジーパン「...そういや」
自分の足を見ながら彼女はため息を付く、たらこのメテオ・エクスプロージョンで彼女の左足は粉々に砕け散ったのだ。
ジーパン「あのバカを庇って...か...。...前にもあったような...」
思い出すことすら億劫のようで彼女は器用に片足で立ち上がるとバスルームへと入った

現在地:ジーパンの部屋のバスルーム

ジーパン「よっこらせっ...」
彼女の風呂は他とはちょっと違う、何が違うかと言うと彼女の下半身は精密機械なため、腰にシャンプーハットならぬシャンプースカートを穿く必要がある。さらに浴槽の代わりに上半身が丸ごと入る強化ガラスの開閉式キューブが置かれてある、彼女は上半身を洗う際...
ジーパン「映画みたいに自動で洗ってくんねぇかなぁ...」
このキューブの中に上半身を入れる、蛇口やシャワー、排水口は全部この中にある。このため下半身にお湯や水が掛かることが少ない、それを完璧にする物がシャンプースカートである
ジーパン「このっ...、胸が洗いにくいんだよっ♯」
さりげなくたわわなそれを目の敵のように洗う、正直男でも面倒くさい入浴方法だとは思う
ジーパン「こんなゴム毬...ニーナにプレゼントしてやりてぇわ...♯、あっ...」
思い出した、ニーナが今、シャーヴァルに囚われている事を。恐らくシャーヴァルはベノとの勝負を望んでいる。ベノもそれに答えようとする反面、どうしようもない。何せランクが違う、そのためベノに万の一つも勝ち目は無いのだ
ジーパン「...、べノ...」
彼女は下半身が機械だ、そのため仮にベノとシャーヴァルが普通のポケモンに戻れたとして自分がダークネスポケモンで無くなってしまえば確実に死にいたる。
ジーパン「せめて...べノとあわての力を一つにできれば...!」
悔しさを抑えて彼女は髪をぐしぐしと洗う、理想を100パーセント現実にすることはできない、それを彼女は知っている。その結果が針組だ
ジーパン「...」
彼女はベノの側近として針組のナンバー2だった、無論彼女にも人間を恨む理由がある。彼女は戦争孤児だ、戦争で親を失い、流れ着いた孤児院さえも戦争の餌食になった。その二つはいずれも人間が引き起こしたものだった
ジーパン「あの日だよな...アイツらが変わったのは...」
そう...ベノがスラムに皆殺しを命じた日、それは彼女が自分の過去をべノに話した翌日のことだ。その日が...彼女の親を失った日。そして...シャーヴァルが変わった日、それが...
ジーパン「9月19日...」
今日が9月16日、おそらくシャーヴァルはその日までに世界を変えるつもりだ。ジーパンはそう確信した。そしてキュッと蛇口を閉め、風呂場から上がるとベッドの上に手紙が置いてあった
ジーパン「あん?」
中身を見るとエクレールからだった、「外でお待ちしてます」その一言だった
ジーパン「外で待つとか書くわりには油断も隙もねぇんだな」
エクレール「すいません、ですが流石に私も女ですので弁えるトコは弁えましたよ」
ソファに座っていたエクレールは真剣な表情でジーパンに答える
ジーパン「いいさ、どうせ行かなきゃ不便なんだからよ、これ(義足)は」
エクレール「参りましょう、あなたもダークネスポケモンである以上、狙われるかもしれません。それに...時間がないのでしょう?」
ジーパン「あぁ...」
エクレールが闇に消え、カーテンが一瞬だけジーパンを隠した瞬間、部屋の中から二人の姿は消え去った...


次回予告
アデア「信じることだけが仲間だとは、僕は思わないです」
罪を許し、信じあう仲間達。だが仲間だからこそぶつかり合い、反発するのではないか、ベノという司令塔が崩壊すると共にてゐ国歌劇団にまた違うヒビが入る。それは、それぞれがみんなのためにと思いあう新たな絆を徐々に露わにしていく。そして...自らの正義とは...?ベノホーン、ジーパン、シャーヴァルが今一度お互いの正義を自らに問いかける。果たしてこれが正解なのか、その答えを探すために


次回 てゐ国歌劇団スペシャル† wound that I will never forget 第四話 深紅/辛苦の道


てゐ劇三組に波乱の嵐!!お楽しみに!


次回は待ちに待ったディレクターズカット、つまりは今まで無かったお話です。ベノホーン、ジーパン、そしてシャーヴァル。彼らの過去とは...?