teikokukagekidan’s diary

主にハーメルンに投稿してる小説の設定

†MULTIPLE AIGIS†

この物語は
ポケモン
少しのグロ要素
申し訳程度のサクラ大戦要素
を含みます。これがダメという闇の力の僕たちはとっととおうちに帰りなさい


コインには表と裏がある。陰陽の様に何事にも対となるものは存在する、赤と緑、金と銀、紅と藍、金剛と真珠、黒と白、破壊と再生、大地と海、太陽と月、そして…光と闇。我々が知る極一般的なものには必ずこう言ったものは存在する、そして生物とは光を掴もうとする、だが誰しも光を掴める訳ではない。当たり前だ、そんな綺麗事が存在しない、誤魔化されているのが光だからだ。逆に闇は誤魔化さない、鮮明で残酷な現実を見せる。興味本位で闇の道を行く者も居るがそういった者に限って深淵を見た者は居ない。完全な闇が怖いからだ。だが実際には陰中の陽というように闇の中にも光がある、その逆も然りである。

だが…光があるといって闇から逃れる事はできない、絵の具で黒を塗りつぶせる色は存在しない。一度でも混ざれば白でさえ黒を完全に塗りつぶす事はできない。安易に闇に踏み込んで無傷で居られた物など居ない、キレイでは居られない。他者を傷つけ自らをも傷つき、泥にまみれても前を進む、それが真の闇。この物語は今まで誰も踏み入れることの無かったタブーに自ら踏み込んだ異端者達の物語である。





真眼「はぁ…なんで風邪程度で一週間も家に引きこもらなきゃなんないの?ホント家の親って勝手なんだから…海外に居て手紙も寄越さないくせに…」
私は朝倉 真眼(あさくら まな)、親以外はいたって普通の女子中学生です。私の悩み、それは親がありえないくらい過保護な事です、そのせいで友達もロクに作れなくて…正直学校で浮いてます、色んな意味で…。少ない友達からは真眼子(まなこ)って呼ばれてます。ぼっちよりマシかな…
真眼「単位大丈夫かなぁ…まぁ学年トップ取ってれば問題ないか…」
「二時間目の時間だけどまぁいっか」と言いながら私が校門に手をかけた時、後ろから声がした
???「ごめんなさい、この学校の人?」
真眼「え、ええ、そうだけど…」
???「よかったぁ、私5日前に転校してきたんだけどまだ道に慣れて無くて…」
5日前…私が風邪こじらせた次の日かぁ、どうりで知らない顔なはずだ、同じ制服着てるのに
真眼「そうだったの?私一週間休んでたから…えっと名前は?」
鈴「秋津 鈴(あきつ れい)、ちょっと小さいけど二年の一組なの」
真眼「私は朝倉 真眼、真眼子で良いわ。私も二年一組なの、仲良くしましょ」
鈴「よろしくね、真眼子」


そのまま校内に入った私達は職員室に向かった。授業中なのもあって廊下には誰も居ない、当たり前とはいえちょっと寂しいかな
真眼「失礼します、朝倉です」
先生A「あぁ、朝倉さんですね、どうぞ」
これが私の日常茶飯事だ、こうやって親の勝手で遅刻して出席届けを出される。毎日がマンネリ化している。正直退屈だ
先生B「あぁ、鈴さん、ちょっとこっちに来てくださる?」
鈴「はーい」

真眼「先生、あの子って?」
先生A「あの子は5日前に転校してきた秋津 鈴さんよ、同じクラスだから仲良くしてあげてね」
真眼「…はい」
私はちょっと違和感を覚えた、なんだか…あの子…変だ
真眼「では失礼します…」


そのまま三時間目、四時間目と時間が立って昼食の時間になった、私はいつもこの時間に屋上に行く、いつもなら私一人のこの時間、今日は…違った
鈴「真眼子~!ご飯食べよー!」
おかしいな、私でもちゃんとドア使ってるのにこの子3メートルの鉄フェンスを平然と飛び越えてんだけど
真眼「鈴…だっけ、良いの?私ほとんど食べちゃったけど」
鈴「良いよ、私も菓子パンだし」
やけにフランクだなあ、この子
鈴「わぁ!」
ドシーン!と音を立てて鈴は私を押し倒す形になってしまった
鈴「わわわ…ごめん!」
真眼「大丈夫?」
鈴「だ、大丈夫!!ごめん!!」
違和感があるくらい素早く私の上から退く鈴、あれぇ…私そんなに臭うかなぁ…ちゃんとお風呂には毎日入ってるんだけど
鈴「真眼子も大丈夫?怪我とかしてない?」
真眼「うん…」
どうもおかしいなぁ…むぅ…
真眼「ねえ、鈴、あんた…」
鈴「?」
真眼「私そんなに臭い?」
私は思ったことをドストレートに言うタイプだ
鈴「ううん、いい匂いだけど…、カイスの香水?」
真眼「え、なんでわかったの?」
鈴「えへへ、私鼻には自身あるんだ」
真眼「へえ…そうだ!今日学校終わったら私の家に来る?香水持て余しちゃって」
鈴「え!?良いの!?」
真眼「うん、正直毎日がマンネリだからさ、退屈で」


鈴「…大きいね、真眼子の家…」
真眼「そう?普通だと思うけど」
これが私の家だ、たったの7200平方メートル。そこらの学校の運動場となんら変わんない
鈴「大きいよ…学校と同じくらいじゃないの?」
真眼「うーん…?そうかなぁ?」
私の両親は仕事の関係で世界中を飛び回っている、そのせいで数年間会えて無いが使用人を通じて私の身を案じてくれている。だけど…過保護すぎるんだよなぁ…
真眼「とりあえず入ろうか」


私の部屋は色んなものがある。俗に言うお金持ちのお嬢様である私はコレクター気質だ、世界中の珍しい物、自分が気に入った物を好きなだけ集める気質がある
鈴「すっごい…こんなの見たこと無い…」
真眼「これは数年前、とある地方の大会で優勝したチームのメンバー全員のサインが入ったトロフィーだよ」
鈴「これは?」
真眼「それはとある地方で悪の組織を壊滅させた二人組みが使ったとされるマシンだよ、それ苦労したなぁ、500億で売って貰ったんだ、それで研究所かなんか作ったらしいけど」
私は鈴に自分のコレクションの説明をする。やっぱコレクターってこういうのやると気持ち良いよね
真眼「あれ?どうしたの?」
鈴「あ、いや…その…なんでもないの」
真眼「?」
うーん、やっぱりたまにだけど隕石の凸凹が気持ち悪い人とかいるんだよね、鈴もそのタイプかあ。残念、そこが良いのに
真眼「じゃあこれなんかどう?とあるバンドチームのサイン入りの楽器でさ」


真眼「ありゃりゃ、もうこんな時間だ、夕食食べてく?」
鈴「え、ううん大丈夫だよ、私にも家あるし」
遠慮しちゃって、可愛いなぁ
真眼「じゃあ家まで送ってあげるよ」
鈴「ええと…さっきメールで迎えの車が来るって言ってたから今日はこれで失礼するね」
真眼「そう?じゃあせめて玄関先まで送ってあげるよ」


真眼「へぇ、真っ白のリムジンっていいね」
鈴「ありがとう、あの…また来てもいいかな…?」
真眼「あー、こんなところでよかったら何時でも来なよ。歓迎するし」
鈴「うん!それじゃあ!」
そのままリムジンに乗った鈴は車窓から手を振っていた、私も笑顔で手を振る。曲がり角までお互いに手を振りっぱなしだった
真眼「いい子だね、ちょっと学校が楽しみだな…」


次の日

私は意気揚々と学校にやってきた、もちろん鈴と会う為だ
真眼「やっぱりこんな日常の変化って楽しいよね~♪フンフン~♪」
だが…鈴は学校を休んでいた、うーん、病み上がりで残ってた風邪が移っちゃったかな?せっかく仲良くなったのに残念だなぁ。そんなことを思っているといつの間にか放課後だ、だけど帰る気が起きず、屋上に居た。ここは落ち着く…そこに誰かがやってきた
真眼「え…鈴…!?」
そこに居たのは鈴だ、私はフェンス越しに駆け寄る
真眼「鈴っ!」
鈴「真眼…ここ開けて…」
真眼「う、うん…」
あれ?今…
鈴「どうしたの…?」
真眼「…あんた誰」
私はぎゅっと拳を握り締め、勇気を振り絞って言い放つ、コイツは鈴じゃない、確信できた
鈴「酷いよ、私達…友達なのに…」
真眼「私の知ってる鈴はね、こんなフェンス簡単に飛び越えられるの、それに…」
こんなことじゃない、私がコイツを鈴じゃないと確信できた理由は…
真眼「本当の鈴は私のこと真眼じゃなくて『真眼子』って呼ぶの、一度だって真眼なんて呼んだ事はないし呼ばれたことも無いわ」
強く気を持って話す、とても怖い。自然と身体が震える…
鈴?「…殺す」
???「ダメッ!!」
フェンス越しに突き出された物を誰かが素早く蹴り飛ばした、飛ばされたものを見ると…ハンドガンだった。その時、私は改めて身体が震えていた理由を理解した。私…殺されるところだった…!?
真眼「ヒッ…!?」
目の前を目を向けるとナイフを持った鈴(?)と…服装こそ違えど鈴がそこでは取っ組み合いをしていた、本物と思われる鈴は押され気味で、ナイフを持ったほうは優勢だが…顔の顔がペロンと取れた、的確には変装用のマスクであることはすぐにわかった
アサシン「仕方あるまい…一度引かせてもらう…!」
5階の屋上から偽者は飛び降りた、ちょっと肝を冷やしたがそれよりも…
真眼「鈴…なの?」
鈴「…、…うん」
悲しそうな顔をして彼女は言う。どういうことか私には理解できない、追いつかない
鈴「大丈夫、それが普通の反応だよね、わかってるよ」
真眼「…事情を聞いてみたいんだけど」
鈴「私は暗殺者からあなたを護るために配属されたエージェント…とは言ってもこれが初任務なんだけど…この鈴って名前も偽名なの、今回は成功だけど失敗…あなたを護りきれたけど正体を知られた以上私はこれ以上この学校に居られない…」
ヤバイ、突然の事で整理がつかない…え?どういうこと?つまりは鈴はエージェントで私を守る為に命を張って…?
鈴「ごめん!」
真眼「待って!」
もう止めた時には鈴は居なくなっていた…どうしよう…


次の日、私は学校を休んだ、無理。鈴という存在が私の中で大きすぎた、それが居なくなるなんて…しかも私のために命を…
真眼「…」
もう一度だけ…鈴と会いたい…、次の日、学校に行くと…鈴は転校したという。…私のせいなのかな…、私がお金持ちだから?それならお金なんか要らない!!普通の生活がしたい!!そう思ってしまった…
真眼「…でも普通になれば鈴と会えなかったのかな…」
だけどエージェントの仕事とはいえ鈴と会えたのは嬉しかった、初めて私が家に入れたしご飯も二人っきりで食べた、コレクションにも興味深々で私の解説を嫌な顔せず聞いてくれた、私は…私は…お金や仕事じゃない、純粋な友達として鈴と一緒に居たい!思った時には動き出した後だった


考えずたどり着いた場所は屋上だった、今日は生憎にも雨だ、それも土砂降りレベルの大雨だ。雨に打たれてながら私は憂鬱な気持ちになっていた
真眼「鈴…」
自分の声が聞こえるか聞こえないかの瀬戸際、背後に人の気配を感じて咄嗟に振り向く!そこにいたのは…昨日の暗殺者だった
真眼「あ…」
恐怖で腰が引け、その場にへたれ込んでしまう。立てない…暗殺者はナイフを構え、一歩ずつこっちにやってくる
真眼「こ、来ないで!!」
もうだめだ…最後に会いたかった…のに…
真眼「鈴ーっ!!」
パシィン!!
雨音に響いたのは…切り裂かれた音ではなく、何かを弾いた音、目を開けるとそこには…
鈴「真眼子!!」
真眼「鈴!!」
私と暗殺者の合間に立ち塞がっている鈴だ
真眼「鈴!ごめんなさい…また私のせいで…」
鈴「気にしないで、大丈夫だから!」
真眼「でもっ!いくら仕事でも命を張ること無いじゃん!!」
鈴「これは仕事じゃないよ、私の…友達としての意思!!」
暗殺者の攻撃を受け止め、アッパーと共に手から炎を出す!その一撃で暗殺者を大きく後退させる!
鈴「私は友達を護るために戦う!」
そう叫んだ鈴はポケットから小瓶のキャンディーケースを取り出すとその中の飴を一つ口に放り投げた、すると…鈴の身体は光り輝き、光が弱まった彼女の姿は…元の姿よりずっと大人びていた…!
鈴「はぁぁぁぁぁ!!」
その熱気は暑いともジメジメしているとも異なり、周囲の湿気を蒸発させるほどの熱気が雨を止ませ、雨雲を吹き飛ばし、明るい日差しが彼女に降り注ぐ
鈴「私の友達を傷つけさせない!!」
彼女の身体を炎が包み込み、鈴はとんでもないスピードで暗殺者の背後に移動、いや、暗殺者をぶっ飛ばした!!
鈴「バーニングダイブ…ゼロ!!」
時差で暗殺者が炎に包まれながら校舎内の茂みの中に飛ばされたようだ
鈴「…」
シュウウンと音を立て、鈴は元に戻った。
鈴「真眼子!」
真眼「鈴!」
私達は抱き合い、私は涙を流しながらぎゅうっと痛いくらい鈴を抱きしめる
鈴「痛い痛い!真眼子!痛い!」
真眼「鈴…!本当にごめんなさい…!私のせいで…!」
鈴「友達の為に護る事に理由なんか要らないよ」
真眼「でも…これでお別れなんでしょ…?」
鈴「…」
そう、私達はもう会えない、鈴は学園を去り、私は空虚な日々に戻る。それだけでいい、それが平和、だけど…
真眼「最後に…お願い聞いてくれる?」
鈴「うん…」
真眼「その…鈴って名前は本当に偽名なの…?」
鈴「…うん」
真眼「教えて…あなたの本当の名前…」
泣きながら私は必死に声を出す、ぎゅっと力を込め、彼女の小さな背中を抱きしめる
鈴「私の本当の名前は…」
一度間を挟んで彼女は言い直す、自分の本当の名前を
鈴「私の本当の名前は…もみじ、ひらがなで『もみじ』」
彼女の本当の名前を知った瞬間、私は嬉しくて涙が溢れた、それと共に別れを悲しむ涙も滝のように流れていた…


???「ったくよ、まだまだガキだな、仕事無しで護りたいなんてよ、だからエージェントは向いてねぇんだよ」
暗殺者が落ちたとされる芝生の奥では、動かなくなったそれを踏みつけた男が屋上を見つめていた
???「(ピッ)俺だ、暗殺者は始末した、任務完了だ。クライアントから報酬を受け取っておけ、それと工作班を学園裏の茂みの中に手配してくれ」
携帯電話の通話を切った男は暗殺者の死体を一度睨むと振り返ることなくどこかに去って行った


鈴「それじゃあ…」
真眼「…うん」
鈴「…ごめんね、クライアントとは深く交流しちゃいけないの、決まりだから…」
真眼「…また会えるといいな…だって…鈴の居ない学校なんてつまんないもの」
鈴「私も…任務だったけど楽しかった」
真眼「…そうだ」
私は鈴の耳元でささやく
真眼「私の電話番号、バレない様に、ね…♪」
こっそりポケットに連絡先の書いた紙を仕込んで
鈴「うん…♪」
テレ顔の鈴は…すごく可愛かった、私達はまたいつか必ず会うことを約束して別れた、私には親に決められた光のエスカレーター、鈴には先の見えない闇の螺旋階段、まるで対になるように…


FIN.




次回など無い、誰かが望めばある、以上!