teikokukagekidan’s diary

主にハーメルンに投稿してる小説の設定

†MULTIPLE AIGIS† ラグナの旅日記 第十八話 水は無くとも花は咲く

この物語は
ポケモン
少しのグロ要素
申し訳程度のサクラ大戦要素
を含みます。これがダメという闇の力の僕たちはとっととおうちに帰りなさい


前回のあらすじ
トウカシティでラグナとベノの戦い後、一同はキンセツシティ東からヒマワキシティへ向かって行った





現在地:119番道路



ラグナ『お前らしっかりしろ!もうすぐヒマワキだ!』
大雨の中、四人は長い草根を掻き分けてヒマワキシティに向かっていた、かなりジトジトしており、湿気が凄まじい。全員汗びっしょりだ
アンペルト『とは言ってもおどれくらいじゃろ、そんなハキハキできんの』
この中で唯一ラグナだけがこの湿地帯を駆け抜ける。他の三人はほぼ置いてけぼりにされていた
ぼたん『…、湿気がとても強い』
そしてこの中では珍しくぼたんが暑がっていた。彼は砂漠などの熱さには強くもこういう森林地帯はめったに来ない、そのため違う「暑さ」で参っているからだ
あるま『こうジトジトするのは好きじゃない、刀が傷む』
一方あるまは刀の心配をしつつ黙々と草村をかき分けて行く、手に持つ「速虫刀」は雨で滴っている。
ラグナ『ここらは雨が強いからな…、早い所抜けるぞ』


五分後


ラグナ『懐かしいな、ここは変わんねぇ、俺とジュリィには最高の場所だったがシャーリィがよく嫌がっていたな』
ぼたん『ここはポケモンを選ぶ道路だな…』
アンペルト『まったくじゃ、早い所抜けたいのぅ』
ラグナ『着いたぞ』
アンペルト『早っ!』
ラグナ『隠れ道使ったからな』


ラグナ『さーて、今回は誰が居るんだ?』
あるま『ちょっと待ってくれ、おまえは絶好調だろうが拙者達は疲れた。一度休んだ後に行こう』
ラグナの顔はテカテカしていた、それだけこの湿地帯がラグナにとってプラスになっているのだ。一方他の三人はぐったりしている
ぼたん『…、少しふらふらする』
ラグナ『あ、あぁ、すまん。じゃあ一服するか』
アンペルト『とりあえず風呂に入らせてくれ、バチバチしてかなわん』
あるま『それじゃあ拙者は刀の手入れを…』
ぼたん『俺は水抜きだ…』
ラグナ『?、水抜きってなんだ?』
ぼたん『知らないのか…、マラカッチは知らんが俺たちノクタスは基本的砂漠で行動する、もちろん水分があれば良いんだがありすぎると人間などで言う胃持たれ、胸焼けを 起こして体調を崩しやすい…そうなると消化不良を起こして獲物を食べられなくなる。俺たちは植物だから近場の水気を吸いやすいんだ…、もちろん生きるための術だが本来は獲物の肉に含まれる水分で補っている。動くのは夜だからな…俺のように砂漠から離れたノクタスは温度管理や水分調整が必須とも言えるんだ…、そうしないとすぐに体調を崩す、草タイプは皆デリケートなんだ…』
ラグナ『ふーん…、ルークスもそう言うところ気にするんだが草タイプは皆同じなんだな』
アンペルト『わかなはそう言う所見せたりはせんのう』
あるま『で?水抜きというのは?』
ぼたん『俺たちノクタスは血液が砂と同じ成分なんだ…、そのため他の草タイプ以上に水を勝手に吸いやすい。もちろんあんな湿地帯を通れば今の俺の身体には水が標準値を軽く上回る…そして今の俺はサボネアだ…、ノクタスの標準値を越えるとなるとまた別の問題が出る…、ラグナなら分かると思うが砂に水を混ぜるとどうなる…?』
ラグナ『固まるな』
ぼたん『そうだ…つまり吸いすぎると…血液の巡回が…悪くなり…血液凝固が始まる…』
アンペルト『顔色悪いぞ、大丈夫か』
あるま『要は血管が固まった血で満たされるという奴か』
ぼたん『あぁ…、もう大丈夫だ…』
ラグナ『無理すんなよ?』
ぼたん『すまない…』
アンペルト『わしらは味方にはなれんが仲間じゃけ、支え合うのが仲間なんじゃ』
あるま『アルト、アデアとライフが入隊する前の自分に言ってみるか?』
アンペルト『ぐぅの音も出んわ』
揚げ足を取られたアンペルトは恥ずかしそうに立ち上がってそそくさと風呂場に向かっていった





ラグナ『ここが6つ目…!』
アンペルト『…おかしいのぉ』
ぼたん『どうした…?』
アンペルト『4人おる、2人は誰かわかった、じゃが…他2人は知らん匂いじゃ、少なくとも三組の誰かじゃないのう』
ラグナ『…まさかな』
あるま『その予想が当たるかも知れないぞ』
四人は息を呑んで扉を開けた、そこには…
ラグナ『!!』
らんまる『遅かったな』
このか『てっきりここを飛ばしたかと思ったわぁ』
ラグナ『おまえら…』
四人が、特にラグナが驚いたのはらんまるとこのかではない、そこに居たのは…
シャーリィ(バシャーモ)『よう、ラグナひさしぶりだな』
ジュリィ(ジュカイン)『ようやくその姿に戻ったのかよ、遅っせぇな』
ラグナ『おまえら…!どうしてここに!?』
説明しよう、シャーリィとジュリィはラグナと幼少期から共に生活してきた家族とも言える存在なのだちなみに女性のような名前をしているが両方とも男である
シャーリィ『悪いな、本当は総司令の命令でお前と戦うためにホウエンに来てたんだ』
ジュリィ『お前のお守りは口実でな、お前には早いところ元の実力以上になってもらわなきゃいけねぇ』
そう言うと2人はエルボープロテクター(ジュリィ)とニープロテクター(シャーリィ)を装着した、よくみるとそれにはメガストーンがはめ込まれていた
ラグナ『まさか!?』
ジュリィ『その通りだ、総司令直々に許可が下りてんだよ!』
2人『『メガシンカアアア!!!』』
その掛け声と共に2人はメガシンカした
ラグナ『ベノのヤロォ…』
アンペルト『上手くはめられたのう、だからわしにもメガシンカのアイテムを渡したんじゃろ』
シャーリィ(M)『さぁ、かかってこいよルールはそっちの自由だ』
ラグナ『…、この人数(四対四)なんだ、だったらやること一つだろ』
そう言うとラグナはメガナックルを装着し、アンペルトはサプリメントを6つほど口の中に放り込んだ、一粒10分、役一時間だ。さらにぼたんとあるまも戦闘体制に入った
ラグナ『ルールはダブルバトル!俺とアンペルトはシャーリィ、ジュリィと、ぼたんとあるまはらんまるとこのかを頼む!!』
四人一斉に飛び出すとラグナとアンペルトがメガシンカしながらシャーリィとジュリィへ、ぼたんとあるまはらんまるとこのかに向かって行った!
ジュリィ『かかってこいよ!ラグナァ!!』
ラグナ『上と…!』
その時、アンペルトがラグナの襟を掴んで引っ張り、ジュリィと向かい合う!
アンペルト『アイツはわしがやるけん!お前はそっちにせい!』
ラグナはアンペルトに「任せた!」と言うとシャーリィへと標的を改め、向かっていった



ぼたん『(らんまる…、すでに戻って居るのか…)』
あるま『(このか嬢はすでに元の姿に…!油断すれば小生もぼたんもやられるかもしれぬ…!)』
ぼたん『あるま…、使うか?』
あるま『いや、まだ使うべきではない』
ぼたん『そうか…』
背中を合わせながら二人は囁いた、ぼたんは不利と見たかエボリューションキャンディーを勧めたがあるまは拒否し、そのままこのかの攻撃を受け止めに行く
あるま『ぐぅ…!』
このかの氷爪があるまの斬岩剣と激突する。鍔迫り合いは互角だ、だがあるまは重要なことを忘れていた、それは
あるま『ぐっ…!?』
このか『あらあら…油断したらあきまへんで?』
あるまのこめかみに鉛のようなものが直撃した、それは鎖に繋がれている。そう…、このかは暗器の使い手なのだ。あるまはなんとか体制を立て直すも足に鈍い違和感を感じた、そこにはまきびしが撒かれていた!
あるま『いつの間に…!?』
まきびしに気を取られた瞬間、正面から手裏剣が飛んで来た。あるまは即座にその手裏剣を一刀両断したのだが…
あるま「うぐっ…」
その場で倒れてしまった
ぼたん『あるま…!』
らんまる『よそ見は厳禁だ、ぼたん』
ぼたんはとっさにらんまるの鉄扇を蹴り飛ばして肉弾戦に持ち込んだ、だが…それは返って悪手だった、なんとらんまるはぼたんの攻撃を返して来たのだ、蹴りを受け止めて蹴り返し、ぼたんのパンチを払い、そのままの勢いで投げ飛ばしたのだ。らんまるは一見では想像着かないだろうが剣術の達人でありタマズサの実家、リュウグウジ拳法の総本山で師範代の実力を持っている。ラグナ以上に格闘戦が得意な彼女(?)に肉弾戦など無謀の極みであり、ぼたんはそれを知らなかった。当然といえば当然である、この情報は毒組内でしか話されていなかったからだ。
ぼたん『強い…!?』
らんまる『鉄扇で戦ってもいいのなら拾いにいくが…?』
ぼたん『その必要は無い…!』


このか『さっきの一刀両断、かっこよかったですえ、でも期待外れどすなぁ…』
笑顔で近づくこのか、あるまは腹を抱えていたが鎖で強引に仰向けにされた、するとあるまの腹部は血で染まっていた
あるま『不覚…』
このか『痛そうやなぁ…中途半端が一番痛いで?』
あるまの腹部には棒のようなものが突き刺さっていた。実は先ほどの手裏剣を投げたときに、このかは二つの手裏剣を投げていた、一つはあるまに切られた手裏剣、もう一つは最初をダミーとした本命の手裏剣。このかは最初から二つ目の棒手裏剣を当てるつもりだったのだ
このか『あるまはん、ほんま弱なったなぁ…前はもっと強かったえ?』
冷血な瞳を輝かせてあるまに歩み寄るこのかは暗器の使い手であると同時に料理経験から刃物の扱いには非常に長けている。だから知っている
あるま『っう…、がぁ!』
刃物は刺さったままのほうが出血しないことを。だからこそあるまの腹に刺さった棒手裏剣を蹴り飛ばした
あるま『少しやりすぎではないか…?』
このか『いつも手加減嫌や言うのは誰どす?』
あるま『言い返せないな…、だが!』
渾身の力を込めて立ち上がったあるまは腹部が血まみれであるがそれでもこのかを『敵』として睨みつけていた
あるま『その程度では小生は倒れない、負けられない!』


ぼたん『ぐぅ…!』
らんまる『…』
一方、らんまるは着実にぼたんを追いつめていた、凄まじくキレイな攻撃の数々はぼたんに反撃の余地を与えようとしなかった
らんまる『…相手にならない』
ぼたん『!』
らんまるがトドメを刺そうとした瞬間!ぼたんが一瞬にしてらんまるの背後に回り込んだ!その驚異的な速さにらんまるは珍しく驚いていた
らんまる『!?』
ワザと前に飛んで直撃は避けれたらんまるだが突然の事で一瞬焦りを見せてしまった、その焦りはらんまるにしては珍しく、わかりやすいほど焦っていた
ぼたん『…、ようやくか…ヒマワキ周辺から身体に水が溜まりすぎていた理由がわかった…』
らんまる『…!?』
ぼたん『…あるま!』
あるま『やはり来たか!行くぞ!』
二人が再び背中を合わせた直後、ぼたんとあるまは青白い光に包まれた
このか『んなアホな…!?』
らんまる『しまった…』
二人が青白い光から解き放たれた、その姿は紛れも無く元々のノクタスアーマルドの姿だった !
ラグナ『お前等!』
アンペルト『ようやくじゃの!』
このか『らんまるはん!本気やで!』
らんまる『わかっている!』
今度はこちらの2人が焦りだした、まさか進化するとは思っていなかったからだ
あるま『ようやく本気で戦える』
ぼたん『…だな』
あるまは二つの刀を抜刀し、ぼたんはハットを深く被りながら少し笑った、この構えこそ二人の本気の証だ
らんまる『このか嬢!』
このか『いくで!』
らんまる・このか『『吹雪!!』』
いきなりの進化に二人は焦った、それ故に温存していたツープラトンを露にしてしまった。それどころか焦っていたせいか完全にタイミングがバラバラだった
あるま『ぼたん!』
ぼたん『わかっている…!』
あるま『抜刀!双烈斬!!』
二つの吹雪を切り裂いた抜刀双烈斬、その隙間を素早くぼたんが入り込み、無防備状態の2人の間に入り込んだ!
らんまる「なっ…!?」
このか「えっ…!?」
そしてぼたんの姿がいきなり見えなくなった!いや、とんでもないスピードで二人の周辺を高速移動しているのだ
ぼたん『サンガー・ベラノッテ!!』
この必殺技、サンガー・ベラノッテはぼたんが高速で移動し、その移動できる短距離にいる敵にホーミングするという蹴り技だ。その威力は絶大でありとあらゆる箇所に攻撃できる、もちろん範囲内ならいくらでも一撃を叩き込める
ぼたん『…、美しき夜を…』
とんでもない一撃を複数回受けた二人は吹き飛び、そのまま倒れてしまった
このか『こ…降参やぁー…』
らんまる『ぐ…ぅ』
あるま『見事だったぞ、ぼたん』
ぼたん『…、地組以外からほめられるのも悪くないな…』
照れくさそうにハットを深く被り、ぼたんとあるまは握手を交わした


ラグナ『あっちは終わっちまったか…』
シャーリィ『そうみたいだな!』
普段はタフなラグナも流石に疲れていた、何せデゲネレーションキャンディーを食べた六人は姿こそ戻っていても能力は以前より各段に下だからだそしてここでもっとも苦戦を強いられているのはアンペルトだった
アンペルト『(ラグナのためにわしがこっちを選んだのはええが…、メガジュカインは避雷針!わしの技のほとんどが効かん所かより強くさせるだけじゃ…、どうしたもんじゃろうか…)』
先ほどからアンペルトの攻撃は全て吸収されていた、今現在アンペルトが使えるのはほとんどが電気タイプの技だからだ
アンペルト『…じゃが、やるしかないのう…、仲間のためにも、わしが倒さにゃいけん』
覚悟を決めた表情でアンペルトはジュリィを睨みつける、その時、バチバチという音と共に火花がアンペルトの周辺に鳴り響く、その火花は次第に音も大きさも大きくなっていた
あるま『…、アンペルト、まさかアレを使うのか』
ぼたん『アレ…?』
あるま『オーバーヒートだ、アンペルトがオーバーヒートを放つ際にはあのように火花がアンペルトの周辺に発生する、だが…いくら何でもあの量と大きさは異常だ…!』
ジュリィ『こいつ…!何を…!?』
アンペルト『見さらせワレぇ、今からとっておき見せたるわ』
周囲の火花がバチバチと強大になり、それを見計らったアンペルトが拳と手のひらをバチンとぶつけるとその周辺の火花が小さく無数の爆発を起こした、その爆発はジュリィを吹き飛ばし、受け身を取らせないほどの衝撃だった
ジュリィ『なろぉ…!何しやがる!』
アンペルト『黙らんかい、舌噛むぞ』
爆風の中から赤い光が飛び出し、ジュリィに襲いかかった!
ジュリィ『なんだぁ!?』
それをジュリィは持ち前の素早さで交わすが何故か振り切れない!まるでジュリィの方向に誘われるように…
ジュリィ『ま…まさか…!?』
ドッゴォオオ!!! アンペルトの拳がジュリィの背中を殴りつけ、勢い良く壁に激突させ、ジュリィは戦闘不能になった
アンペルト『どうじゃ?加速した皇我迅雷拳は』
燃え盛る光を振り払い、メガシンカの解けたアンペルトが姿を表した、その衣服は所々焦げていた
あるま『静電気を使ったか…』
ぼたん『自分で起こした静電気を大きくし…発火させた、…だから避雷針であるメガジュカインに引き寄せられた…か…』


ラグナ『シャーリィ!こっちも終わらせようぜ!もうそろそろへばって来たろ!』
シャーリィ『まだだ!俺達はもう諦めない!』
ラグナ『…』
二人は取っ組み合いながら睨み合うがシャーリィの瞳から、ラグナはとある感情を読み取れた
ラグナ『…お前らやっぱり許せねぇか』
シャーリィ『…あぁ、許せねぇよ、俺も、ジュリィも、人間の事を!』
ラグナ『お前ら興奮状態になるといつも人間へのヘイトが貯まりやがる、ムロタウンでもダダ漏れだったろ!』
ラグナは取っ組み合いをしている腕の力だけで自分とほぼ同じ体重のシャーリィを上に持ち上げると思いっ切り地面に叩きつけた!
ラグナ『俺だって人間は嫌いさ、殺してぇ、だがな…』
シャーリィの足を掴んだラグナは…
ラグナ『アイツとの…ベノとの約束に比べたらよぉ…!憎しみがなんだ!怒りが!復讐がなんだ!後10人がなんだ!そんなことよりベノの約束のほうが勝るんだよ!!』
シャーリィを片手で思いっ切り振り回した!
ラグナ『俺達は!生き物だろうが!!だったら!!!』
シャーリィを投げ飛ばして両腕を合わせた!
ラグナ『未来に生きろよ、その命が続く限り同じ生きとし生けるものと支えあって生きて行く義務がある。生き物ならその義務を全うしろ、命が続く限り…』
その台詞は…ラグナがシャーヴァルに言われた言葉だった
ラグナ『ガルネイト!クエイク!!』
地面を引き裂いた一撃は立ち上がったシャーリィを足元から吹き飛ばす、シャーリィが落ちてきた時、勝敗が完全に決した
ラグナ『…、誰もが前を向けるわけじゃねぇ、だからいつかは前に向かなきゃなんねぇ。それは今じゃなくてもいつかは前を向いて歩き出さねぇとなんねぇんだ』




次回予告

ラグナ一行は大きな一歩を踏み出した、そして全員が揃ったとき、彼等は気付く、この地方が既に異変の渦中にあることに…

次回、†MULTIPLE AIGIS† ラグナの旅日記 第十九話、隠れ住む者


ラグナ物語もラストスパートです