teikokukagekidan’s diary

主にハーメルンに投稿してる小説の設定

†MULTIPLE AIGIS† ラグナの旅日記 第二十一話 原始海皇我(ゲンシカイオーガ)

この物語は
ポケモン
小匙一杯のグロ要素
申し訳程度のサクラ大戦要素
を含みます。これがダメという闇の力の僕たちはとっととおうちに帰りなさい

〔ミナモシティ〕

しゅヴぁる「なんだ…?」
ルークス「さっきから雨粒の勢いが強くなってる…!?」
エクレール「多分だけど…そろそろ私達も逃げた方がいいね、もっと鋭い雨粒になると思うし」
土砂降りの中、毒組のメンバーは迫り来る荒波を押し返していた、だが先ほどから雨粒の威力は増大する一方だ
カオティクス(通信機)『聞こえますか?皆さん』
しゅヴぁる「どうした」
カオティクス「避難は終わりました、皆さんも毒屋敷に戻ってきてください」
もみじ「えっ、本当にいいの?」
カオティクス『降水の量が倍加しています、このまま荒波を押し返すだけでは皆さんも危険です。直ちに戻ってきてください』
しゅヴぁる「仕方ない。戻るぞ」
ルークス「行きましょ、チグサメ」
チグサメ「…(ラグナ…)」



〔海底洞窟〕

ラグナ「…この奥か、道中かなり浸水してたな…」
ピチャピチャと水溜りを踏みながら洞窟を進んだラグナはいよいよ最深部まで差し掛かっていた。そして同時に奥からとてつもない気配を感じていた
ラグナ「…」
無言で進んだ先にあったのは…巨大なα(アルファ)と刻まれた石だった。それは淡い藍色の光を灯し、最深部は幻想的な風景になっていた、とても外で異常気象が発生しているとは思えないほどだ
ラグナ「これは…言うなればアルファサファイアとでも言うのか…シャンガはどこに…」
キョロキョロと辺りを見回すが人影は何処にも無く、ラグナ一人だけがそこに居る。だが…
???「誰だ…この神聖な『海の棺桶』に土足で入り込んでいるのは…」
突如、声がした。美しくも邪悪な声、全てを包み込む包容と闇を重ねた存在はそこに居た。そしてラグナにはハッキリとわかった、誰なのか
ラグナ「シャンガ…!」
???「まだ力が完全ではないが邪魔な物は消し去る…誰であろうと…!」
ピシッと目の前の石がひび割れ、蒼い光と共に、それは姿を現した…
ラグナ「なっ…」
シャンガ(ゲンシカイオーガ)「その存在を許さない…!」
ドンっ!!とてつもない音と共にラグナは光線に打ちぬかれ、洞窟の壁に深く打ち付けられてしまった。
ラグナ「ガハッ…!」
避けれなかった、違う、攻撃が来るのは分かっていた、身構えていた、ガードもちゃんとした、『なぜか直撃した』
ラグナ「まさか…」
シャンガ「みずのはどう…防御など無意味だ…」
ラグナ「(嘘だろ…なんだあの破壊力…!威力、範囲、速度…全てがとんでもねぇ…!何より恐ろしいのは…これで完全じゃないと言ったことだ、恐らく俺が長々と旅を続けていたor気付かなかったらアウトだった…)」
シャンガ「考え事はそこまでだ」
ラグナ「ガアア!!!」
さらに壁にめり込むラグナ、まったく身動きできない
シャンガ「力試しにもならない」
ラグナ「くそっ!!」
なんとか抜け出すも三度みずのはどうの直撃を受け、一方的に攻撃を受けてしまっている。ラグナも完全に力が戻っているわけではないがそれを除いても強すぎるほどだ
ラグナ「何か…突破口が…!」
この時、ラグナの脳裏に浮かんだのは
ラグナ「っ…!!」
真赤な血だった、だが…殺したくない。目的は止める事だ。平和と命の呵責に苛まれ、ラグナは動けずに居た…
ラグナ「シャンガ!思い出してくれ!!」
シャンガ「…」
ラグナ「平和の為にって…!多忙だけどそれでも力になりたいって…アンタは言ったじゃないか!!そしてどれだけ遠く、忙しくても月一の隊長会議にいつも出席してるじゃないか!!」
シャンガ「…」
ラグナ「もうやめてくれ!!こんなこと!俺とアンタは仲間じゃないか!!」
その時、攻撃が止んだ
ラグナ「…え?」
顔を上げた先にあったのは…冷血な瞳に
シャンガ「して…」
一粒の
シャンガ「殺し…て…」
涙だった
ラグナ「シャンガ…?」
そこに居たのは…いつもの献身的で優しいシャンガの姿だった
シャンガ「もう…私は…戻れない…だから…」
ラグナ「冗談でも殺してくれなんて言うな!!」
シャンガの胸ぐらを掴み、頭から血を流しながらラグナが叫ぶ。その目には…涙が溢れていた…
ラグナ「命って儚くて、小さくて…無限の可能性があって…優しさも残酷も知ってて…誰かが奪って良いものじゃないんだ!!その命を護るのが俺達てゐ国歌劇団だろ!!アンタを救う為に…多くの命を救う為に…ここに来たのに殺してくれだと!!?命を甘く見るな!!今この瞬間だって失われてる命があるんだ!!でも俺達は不器用だから…不完全だから…それでも命を救いたいから…戦ってる、足掻いてるんだ!!」
シャンガの瞳には…いつしか大粒の涙が滝のように流れ出ていた…その眼にも光が灯ったようにも見える…
シャンガ「でも…もう手遅れなんだ…こんなことになって…」
全身を巡る赤い線、それは先ほどより、血より、赤く激しく巡っていた
シャンガ「もうすぐ力が戻ってしまう…そうすれば私は手のつけようが無い怪物として世界を暗雲で包んでしまう…だからここに居た、少しでも力を押さえ込むために…」
ラグナ「シャンガ…」
シャンガ「ラグナ…私を…楽にして…」
ラグナ「…、……わかった…」
俯き、あふれる涙を流しながらラグナは拳を握り締めた…、偽善で殺しなど…最低だ…そう思いながらもシャンガの、世界の為に取った行動を無下にしないためにも、ラグナは…!
ラグナ「うあああああ!!!!!」
ドスっ!!!貫いた。生暖かく冷たい感触、仕事でも殺しはする、だが…罪悪感と思いが激しく揺らぎ、ラグナは大粒の涙を流し、声を抑え、歯を噛み締め、深くシャンガの腹部を貫く、その赤い血はラグナの着物を汚し、地面を赤く染め上げていった…
ラグナ「シャンガ…」
シャンガ「…」
ラグナ「こんな…こんな方法しかなかったのか…くそっ…」
その時、シャンガの口から何かがつぶやかれていた…。それに気付いたラグナは耳を済ませた…最後の言葉…遺言として…
ラグナ「シャンガ…」
シャンガ「『ぜったいれいど』」
グサグサっ!パキパキパキ…ラグナを貫いた鋭い氷塊は…一瞬のうちにラグナを包みだした
ラグナ「なっ…」
信じられなかった、『ぜったいれいど』ではない、そこにいたシャンガは笑顔だった、そしてその腹部は…ラグナが決死の覚悟で貫いた腹部は
ラグナ「嘘…だろ…」
綺麗に再生していた、その光景をラグナは見たことがあった
ラグナ「ダークネス…ポケモン…?」
その言葉を言うと同時に、ラグナの身体は氷塊に完全に包まれた


次回予告
決死の覚悟、良心、それは所詮エサにすぎなかった。失意と絶望、裏切られた事の憎悪はラグナの中で渦巻いていた。無力な自分が虚無に消えたとき、ラグナはいつか見た景色を思い出す。


次回 †MULTIPLE AIGIS† ラグナの旅日記 第二十二話 青空



ダークネスポケモンは殺す事でしか救えない。だけど普通のポケモンには殺せない。さあさどうなるのでしょう